TV会議 論文紹介セミナー 11
スケジュールと担当第21回日時:5/12(木)16:30-18:00
<15分発表> 担当者: 長勇一郎(東大・D1) 発表スライド <論文紹介> 発表者: 藤田航(東大・M2) 発表スライド 紹介論文: Titan impacts and escape D.G.Korycansky, Kevin J.Zahnle, Icarus 211, 707-721, 2011 要旨: Iapetusの暗い半球であるCassini regioの成因については、Phoebe由来とする説が一般的である。しかし、PhoebeとIapetusの反射スペクトルの形が赤外領域で大きく異なっている点はまだ解明されていない。一方、IapetusとTitanの反射スペクトルが似ているとする報告もある。そこで本研究では、Cassini regioの暗い物質がTitanへの巨大衝突により発生したイジェクタに由来するものと考え、その質量をZEUSMP2の流体コードを用いて見積もった。その際、先行研究との比較や球面効果を取り入れるために、3種類の異なる座標系を用いた衝突シミュレーションを行った。また、インパクターのサイズ・衝突速度・衝突角や解像度を様々な値に振りパラメータサーベイを行った。その結果、脱出速度に達するイジェクタの量は最大でもインパクターの質量程度であるということが分かった。また、衝突角が大きくなるほど、イジェクタにおけるインパクター由来の質量分率が大きくなるということも分かった。これらの成果は、後に軌道計算を行う際の初期条件として活用できるだろう。 第22回日時:7/7(木)16:30-18:00
<15分発表> 担当者: 町井渚(神大・D3) 発表スライド <論文紹介> 発表者: 池崎 克俊(阪大・M2)*発表は神戸大から行います. 発表スライド 紹介論文: Earth impact probability of the Asteroid (25143) Itokawa to be sampled by the spacecraft Hayabusa Patrick Michel, and Makoto Yoshikawa, Icarus 179, 291-296, 2005 要旨: 日本の宇宙探査機「はやぶさ」は2005年9月に小惑星イトカワに到着し、2007年に地球にイトカワの表面のサンプルを持ち帰る計画である。 初期条件の小さな変化や異なるコンピュータの使用(エラー等)などによって得られる初期には区別できない39個の軌道(クローン)について1億年にわたる数値積分することによって小天体の進化過程について研究されてきた。 この結果は100万年以内に500mサイズの小惑星の地球への衝突の可能性を示しており、その地球への衝突頻度はこのサイズの平均衝突頻度より4倍も高くなっている。 このはやぶさミッションは次の500mサイズの地球への衝突体の一つとしてよいデータを得られるかもしれない。 第23回日時:7/28(木)16:30-18:00
<15分発表> 担当者: 洪 鵬(東大・D1) 発表スライド <論文紹介> 発表者: 笹森 務仁(東大・M2) 発表スライド 紹介論文: How common are Earth - Moon planetary systems? S.Elser et al., Icarus, In Press. 要旨: 地球の衛星、月は地球に対して軌道軸を安定する働きや潮汐力など、様々な影響を及ぼし地球にとって不可欠な存在となっている。そういった月において太陽系を見る限り、地球 - 月のように惑星に対してこれほどまでに大きな衛星を所有している惑星は無く、果たして月はありふれた衛星なのかが疑問視されている。 本論文は、微惑星集積モデルを用い、惑星に対して比較的巨大な衛星が作られる確率を計算した。また、巨大な衛星が形成されるための条件の不確定性を見積り計算に入れた。結果として、現在のような月ができる確率は1/12、不確定性を考慮すると、1/4~1/45となった。 第24回日時:10/13(木)16:30-18:00
<論文紹介> 発表者: 岡本 尚也(神大・M2) 発表スライド 紹介論文: Impact cratering in sandstone: The MEMIN pilot study on the effect of pore water T. KENKMANN et al., Meteoritics & Planetary Science 46, Nr 6, 890–902 (2011) 要旨: 惑星表面では隕石の衝突が起こり、クレーターを形成する。その表面の岩石は ポーラスかつ液体を含んでいることが多々ある。この2つのパラメーターが衝突 クレーターに対して担う役割を理解するために、dry sandstone(砂岩)とwet sandstoneを使って室内実験を行った。弾丸はセンチメートルサイズのsteelを 使っている。実験は二段式軽ガス銃で行われ、衝突速度は5.4 km/sに達した。砂 岩のpore space(間隙)が水で満たされているとき、クレーター効率、イジェクタ 速度、スポール体積は大きくなった。また、クレーターの形状はwetターゲット とdryターゲットで大きく異なった。wetターゲットのクレーターの方が大きい が、より浅いクレーターとなった。この論文では、pore water(間隙に入った水) が掘削流の場とターゲットの破壊に与える影響について報告する。水の蒸発が衝 突過程に有意に寄与したのではないかと考えている。 第25回日時:12/1(木)16:30-18:00
<15分発表> 担当者: 嶌生 有理(名大・D2) 発表スライド <論文紹介> 発表者: 永木 恵太(阪大・M2) 発表スライド 紹介論文: High-power laser shock-induced dynamic fragmentation of iron foils G. Morard et al. PHYSICAL REVIEW B 82, 174102 (2010) 要旨: 高出力レーザーを100μmの厚さの鉄の箔に照射した。励起された衝撃圧力は 100GPa~300GPaの範囲でした。試料の自由表面速度は干渉計によって計測した。 ポリカーボネートに回収した試料の破片はSEMを使って解析を行った。破片のサ イズ分布は反射電子像から抽出した。破片の形状や引っ張り強度の値と同様に破 片の分布はレーザーの強度が増加するに伴って急に変化する。破片の変化などを 解釈するために一次元流体力学シミュレーションを用いた。鉄の相図の最近の静 的圧縮のデータや計算データと比較することで、最も高い圧力においてSESAMEよ りもBLF (Bushman,Lomonosov and Fortov)の状態方程式の方が現実的な予測を与 えていることが分かった。計算した降圧過程において、スポール破砕はα相かγ相 のどちらかの固相で起きていることを示している。この相の違いは破片の振る舞 いの変化で簡単に説明できるかもしれない。 第26回日時:1/19(木)16:30-18:00
<15分発表> 担当者: 岡村 奈津子(東大・D1) 発表スライド <論文紹介> 発表者: 桑原 秀治(東大・M1) 発表スライド 紹介論文: Chemistry of atmospheres formed during accretion of the Earth and other terrestrial planets L. Schaefer, B. Fegley Jr, Icarus 208 (2010) 438-448 要旨: 初期惑星大気は微惑星の高速度衝突により引き起こされる高温高圧からの脱ガス によって形成される。本論文では熱力学平衡・反応速度論計算を用いて微惑星の 集積過程で形成される惑星大気の組成推定を行った。その結果、CI,CMコンドラ イトのような物質からはH2O主要大気が、普通コンドライト(H,L,LL)と鉄成分の 多いエンスタタイト(EH)からはH2主要大気が形成され、鉄成分の少ないエンスタ タイト(EL)からはCO主要大気が形成することがわかった。 |