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トップページ > 衝突研究会 > 衝突勉強セミナー13

TV会議 衝突勉強セミナー13

今期セミナーのコンセプト

今期の勉強会では、衝突地形の成因、特に複雑クレーターが形成される際の崩壊現象過程を理解することに重点を置き、それに関する基礎的かつ重要性の高い論文を選定しました。ポスドク以上の研究者の皆さんには、是非とも学生への助言等でお力添えを頂ければと考えております。

[勉強会の目的]
・「衝突研究をする以上、知っておくべき教養」の全体像を提示し、衝突勉強会に参加する学生全員の知識レベルを、その水準まで引き上げる。
・「全員が主体的に参加できて、勉強になる」会にする。

[内容]
・ 全3回。
・ 各回に一つの「衝突に関するテーマ・問い」を設定し、余りに細かい事まで触れることはせず、要点を上手くまとめて紹介する。
・ 毎回の勉強会終了後には「テーマに関する論理の概略」を全員が共有出来ているレベルにまで参加者の理解を引き上げる。

第1回

日時:1/21 (火) 17:30-19:00
<テーマ・問い>:Acoustic Fluidization (AF)仮説は複雑クレーター形状のどこまでを説明できるのか?AF仮説の検証方法は?
紹介者:古賀すみれ(東大)・・・ 発表資料
論文:Hydrocode Simulations of Chicxulub Crater Collapse, Collins et al., 2002, Icarus.
要旨:巨大衝突クレーター形成のさらなる理解のために、数値シミュレーション結果と地震波データから導かれる力学モデルを統合する目的でチクシュルーブクレーターの崩壊を再現する流体シミュレーションを行う。  荷重圧力が十分に中和された時刻・位置では、摩擦抗力が減少し岩石破片が流動する。シミュレーションでは、チクシュルーブの地震波データで観測される特徴の大部分を含む崩壊したクレーターが再現される。特に、中心部の外側への崩壊が内側へ崩壊するリムの上に押し出されてできたピークリングが形成される。ピークリング生成のこのモデルは新しく、ピークリングは深くから掘削された物質でできておりそこでは層序が逆転する事が予測される。

第2回

日時:3/11 (火) 17:00-18:30
<テーマ・問い>:標的物質のどんな違いが流動化に影響するのか?それがクレーター形成に及ぼす影響の程度は?
紹介者:木内 真人(神大)・・・ 発表資料
論文:Numerical modelling of the impact crater depth-diameter dependence in an acoustically fluidized target, Wunnemann & Ivanov, 2003, Planet. Space Sci.
要旨:衝突クレーターの2次元数値モデルは、異なるクレーター形態(単純クレーターと複雑クレーター)における深さと直径の関係を定量化する上で有用である。一般的にクレーターの最終形状は、衝突直後に形成されたトランジェントクレーターが重力の作用により崩壊した結果であると考えられている。クレータリング過程の計算は、衝突天体と惑星表面の接触から始まり、最終クレーター形状が形成されたところ終わる。クレーター下部の岩石において異なるレオロジ—モデルを用いることで、クレーター形成に与える影響を定量化した。複雑クレーターの形成において、単純クレーターとの直径のしきい値が調和的になるために、Acoustic Fluidizationモデルを用いた。観測された深さ-直径比、また月や地球、金星における単純クレーターと複雑クレーターの直径のしきい値と一致するまで、幅広いパラメーターの範囲においてシミュレーションを行った。

第3回

日時:3/26 (水) 17:00-18:30
<テーマ・問い>:AFモデル以外に標的物質の強度を弱めるプロセスは存在するのか?それは観測事実をどれほど説明出来るのか?
紹介者:常 昱(東大)・・・ 発表資料
論文:Dynamic fault weakning and the formation of large impact craters, Senft & Stewart, 2009, Earth Planrt. Sci. Lett.
要旨:衝突クレーターは惑星表面の主要な地形である.しかし,その形成終盤のメカニズムは未だに十分に理解されていない. クレーター形成の最終段階は半球状のトランジェント・クレーターの崩壊により引き起こされる.小さいクレーターの周辺では,崩壊の程度が小さくお椀型のキャビティが良く保存されている.一方で,巨大クレーターに見られる浅いクレーター深度と複雑な内部形態を形成するためにはターゲット物質が非常に低い剪断強度を持つ必要がある.ところが,観測されている大規模なクレーター崩壊は破砕した岩石の準静的な摩擦強度では達成されることは出来ず,一時的に物質強度を低下させるメカニズムが必要となる. 本研究では,クレーター崩壊が衝突誘起の断層のネットワークに沿って起きるという仮説について数値計算(CTHコード)によって調べた.この断層は摩擦溶融などによって高速すべりの間強度が弱まるものである. 具体的には,結晶質岩の断層滑り実験により制約されたパラメータを使った単純なひずみ速度弱化モデルを使って.100 kmサイズのクレーターの形成を計算した.弱化モデルでは,破砕した物質が累積塑性剪断ひずみ(滑り距離の指標)と剪断ひずみ速度(滑り速度の指標)の閾値を超えたとき,摩擦係数が準静的な値(0.6-0.85)からに低い値(0.1-0.2)に低下すると定めている.計算結果によると,断層が生成する区域はクレーター崩壊の間に自然に生まれ,それぞれ個別の間だけ滑りが生じることがわかった. また,ひずみ速度弱化モデルによって地球上の巨大クレーター(フレデフォード,サドベリー,チクシュルーブ)で観察された主要な特徴である浅いクレーター深度・断層構造・摩擦メルトの分布・中央丘などが再現された.この計算結果と観測事実の一致は,断層生成区域に生じる少量な一時的に弱化する物質の存在が巨大衝突クレーターの崩壊を支配するという仮説を支持するものである.

updated: 2014/3/26

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