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2021年度最優秀研究者賞 選考の結果と講評

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2021年度最優秀研究者賞 選考の結果と講評

2021年度選考委員会委員長 中島健介(九州大学)

日本惑星科学会2021年度「最優秀研究者賞」は2022年1月に募集要項を公表し,同年2月に応募受付を開始し3月28日に応募を締め切りました.応募者は7名で、応募資格確認の後、6名を対象として各選考委員が応募書類を精査し,5月9日に全選考委員による審議を行いました.審議では,研究の広がりと質, 独創性, 国際性, 惑星科学への様々な貢献, 今後の惑星科学を牽引するリーダーシップへの期待など,さまざまな観点から議論しました.どの応募者も大変優れた研究者であり選考作業は大変難しいものでした.各委員からの評価意見とそれを元にした総合的な検討の結果,まず,4名の候補者に絞り込みました.さらに議論した後に委員による記名投票を行い、票数の突出した最上位2名について検討した結果、両名はそれぞれに極めて優れた特色ある研究者であり、甲乙は付けがたく,両名を受賞者として運営委員会に報告して承認されました.

受賞者 (ABC順)

  氏名: 兵頭 龍樹 (ひょうどう りゅうき)
  所属: JAXA 宇宙科学研究所

  氏名: 巽 瑛理 (たつみ えり)
  所属: Instituto de Astrofísica de Canarias、東京大学大学院地球惑星科学専攻

以下に,選考委員会による評価等を紹介します.

兵頭会員について:

兵頭会員は、惑星系・衛星系・リングを含む惑星系の形成と進化に関する理論的研究を、SPH計算、N体計算および解析的手法を駆使して、極めて多面的に推進しています。まず兵頭会員は、巨大惑星に近接遭遇する準惑星サイズの天体の潮汐破壊と、その結果として生じる破片の長期軌道進化を数値計算によって詳細に調べ、土星のリング-衛星系がこのような過程で形成された可能性を示しました。次に兵頭会員は、火星の衛星の形成を巨大衝突により説明する研究を行うとともに、火星への無数の小天体衝突により生じたダストがフォボスに相当量集積することを示し、MMX火星系探査計画の科学的意義を飛躍的に高めることに大きく貢献しました。さらに兵頭会員は、原始太陽系円盤における固体の輸送・昇華・再凝縮を一体的に考慮した物理モデルを構築し、微惑星がスノーライン近傍で選択的に形成される条件を系統的に明らかにしました。以上の業績は極めて優れたものであり、特に、兵頭会員が惑星探査に積極的に関わり、理論的研究により科学的ストーリーを提案している点が、選考委員から幅広く高い評価を得ました。今後も理論研究と探査の両面にわたって惑星科学を力強く牽引していくことを期待しています。

巽会員について:

巽会員は、近年の小惑星探査を推進する多くの幅広い研究に献身しています。巽会員はまず、高速衝突実験によりラブルパイル小惑星表面のクレータースケール則を導き、その適用によりイトカワやリュウグウ、べヌーなどが非常に若い表面年代を持つことを明らかにしました。続いて巽会員は、はやぶさ2の光学航法カメラ ONC チームの中核を担い、緻密な解析により、ONC の校正をリュウグウ到達前に高い精度で確立しました。ONCの精度と信頼性は、降下地点選定などリュウグウでのはやぶさ2の全運用と科学研究のすべての不可欠な基盤の一つです。さらに巽会員は、高精度の画像を活かした二つの画期的な科学研究、即ち、リュウグウ表面の外来性物質の発見を鍵としてリュウグウの形成過程を解明した研究、および、リュウグウの宇宙風化を解明した研究をリードしました。以上の業績は極めて優れたものであり、特にONC校正をはじめとする上述の活動を通じて巽会員の力量が国際的にも極めて高く信頼され、OSIRIS-REx チームへの招聘など、活動が国際的に広がっていることが、選考委員から幅広く高い評価を得ました。今後も惑星探査、宇宙望遠鏡などのプロジェクトも通じて惑星科学を国際的にリードすることを期待しています。

最後に,今回の選考において残念ながら選に漏れた方々も,それぞれに非常に魅力的かつ高水準の特色ある研究をされています。惑星科学の将来の展開の鍵になり得る重要な研究も複数ありました。受賞者をはじめ応募者全員が今後も大いに活躍し,惑星科学会を盛り上げていただくことを期待しています。

2022年5月24日

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