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トップページ > ニュース > 学会賞 > bestpr-2015 > 最優秀発表賞選考経過の講評

選考経過の講評

選考委員会委員 中村 昭子(神戸大学)

今年は例年より多く当初11名の応募がありましたが、2名が応募資格を満たさなかったため、審査は9名に対して行なわれました。審査可能枠の応募数を超えていたため、予稿により予備審査を実施し、6名を本審査対象としました。10月14日午前の最優秀発表賞セッションおよび午後のポスターセッションにおいて、本審査対象者6名全員による口頭発表およびポスター発表を行いました。今回もレベルの高い発表が多かったのですが、同日の選考委員会による厳正なる審査並びに運営委員会での審議の結果、名古屋大学の田中佑希会員(「磁気流体波動がガス惑星の大気散逸と大気構造に与える影響」)と京都大学・東京工業大学の田崎亮会員(「原始惑星系円盤における高空隙率ダストの光学特性とその応用」)の2名を最優秀発表賞対象者として選出しました。

田中会員は、磁気流体波動が系外ガス惑星の大気散逸を引き起こす可能性について研究を行いました。系外ガス惑星の中には大気の散逸が進行しているものが発見されていますが、それを駆動する機構の理解は不十分です。田中会員は、太陽におけるモデルを工夫しながら惑星に応用し、系外ガス惑星でも磁気流体波動によって上層大気の加熱と散逸が起こり得ることを示しました。こうした成果は、惑星の大気散逸機構の解明に大きく寄与すると期待されます。 田中会員の口頭発表とポスター発表は、そのいずれもが専門外の研究者に対してわかりやすいものとなっており、また質疑応答も明快でした。研究の到達度も高く、今までのモデルでは説明できなかった観測結果を磁気流体波動により説明できることを示したことを高く評価し、本賞にふさわしいと判断しました。

田崎会員は、ダストの光学特性に関する研究を行いました。最近の惑星形成理論では、ダストは初め空隙率の高い状態で成長し、そのことが重要な役割を担うと考えられています。しかし、高空隙率ダストの存在は観測的には確かめられていません。田崎会員は、高空隙率ダストの散乱の角度依存性や偏光の特性が内部が密なダストと異なることに注目し、この違いを利用して、両者を区別することが可能であることを示しました。今後、実際の観測によってその区別がなされると、惑星形成過程の理解を大きく前進させることになると期待されます。 田崎会員も、口頭発表、ポスター発表ともに、情報を絞って丁寧な説明を行い、質疑応答に関しても明快でした。今後の観測結果へ応用可能な研究成果を挙げており、惑星形成へも言及していることから、その研究は高く評価され、田中会員と並んで本賞にふさわしいと判断しました。

残念ながら今回受賞の対象にはなりませんでしたが、他の方々の発表も優れたものばかりで、内容の質や発表技術もいずれも高いものでした。これらの方々に対して審査会で出た意見を少し記しておきます。上本会員:「月のSPA盆地におけるかぐやのスペクトルデータ解析を長時間かけて丹念に実施している。」、三上会員:「周惑星ガス円盤内で衛星形成が進行するという最近のシナリオに従って氷衛星の大気構造を求めた点に新規性が見られる。」、黒崎会員:「天王星の冷却メカニズムについて独創性のあるアイデアを提出して自立した研究を遂行している。」、菊地会員:「斬新な発想に基づいており、探査データの解析とN体計算の両方を実施した点が評価できる。」。

学年や応募経験の有無にかかわらず、来年度以降も多くの学生会員からの応募を歓迎します。

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