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トップページ > ニュース > 学会賞 > bestpr-2012 > 最優秀発表賞選考経過の講評

選考経過の講評

選考委員会委員長 林 祥介 (神戸大学)

 2012年度最優秀発表賞へは8名の応募がありましたが、1名が応募資格を満たさなかったため審査は7名に対して行なわれました。発表可能枠内の応募数であったため、予備審査は経ずに、7名全員に対して10月24日の最優秀発表賞セッションおよびポスターセッションにおいて審査を行いました。同日の選考委員会による審査並びに運営委員会での審議の結果、「K-Ar法を用いた惑星探査におけるその場年代計測法の開発」を発表した東京大学の長勇一郎会員が受賞者に選ばれました。

 長会員の研究は、火星などの固体惑星進化を定量的に理解する上で重要となる、表面年代のその場年代測定技術を開発しつつあるというものでした。K-Ar法を用いたその場年代測定は、その汎用性から火星探査ローバーCuriosityを始めとする固体惑星探査に用いられようとしており、国際的にも注目を集めているといえます。しかし、これまでの探査計画で採用されている岩石試料の全岩分析法では、もともとマグマ中に含まれている初生Ar量が不明であるため、得られる年代値に大きな不確定性が残るという問題がありました。長会員は、レーザー誘起ブレイクダウン分光と脱ガス気体の質量分析を組み合わせた新たな手法で、岩石試料のスポット分析を行いました。そして、火星のノアキス代―ヘスペリア代境界に産出する典型的な火成岩のアイソクロン年代を求めることができる可能性を示しました。機器開発という、ともすれば技術の詳細に入りがちな内容を聴衆にわかりやすく発表していた点や、近い将来の月惑星探査において大きな役割を担うことが期待されるという点も高く評価されました。

 残念ながら今回受賞の対象にならなかった発表も力作ぞろいで、内容の質や発表技術も非常に高いものでした。参考のために、審査会で出た意見を紹介します。今枝会員:今回唯一の修士課程での発表でしたが、博士課程の会員と比べても見劣りせず、研究内容や発表技術において優れていました。今後の活躍を期待したいという声が聞かれました。鎌田会員:探査データの取得から解析、粘弾性モデルを使っての解釈まで一連の研究を高く評価する声も多く、口頭発表の手法についても優れていたとの意見も多くありました。黒川会員:地球の数倍の質量を持つスーパーアースと呼ばれる系外惑星のキャラクタリゼーションにおいて、その惑星が水素大気を持つ惑星か氷惑星かを推定するという最先端かつ惑星形成進化論に重要な課題に挑戦している点が評価されました。酒井会員:岩石学や流体力学など、色々な要素を複合して月のバルク組成や起源を決定するという大きな問題に取り組んでいる点が高く評価されました。平田会員:非常にユニークかつ面白い研究内容であり、衛星系やアストロバイオロジーなど広く波及効果がある点を評価する審査員も多くいました。藤井会員:周ガス惑星円盤における衛星形成理論の常識に挑戦し、これを覆すという内容であり、今後、新たな衛星形成理論を展開してくれることを期待したいという声が聞かれました。

 このように、今回は非常にレベルが高く、応募者同士の実力や発表技術も拮抗していました。来年度以降も、学年や応募経験の有無にかかわらず、多くの学生会員からの応募を歓迎します。

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