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選考経過の講評
選考委員会委員長 倉本 圭 (北海道大学))
2009年度日本惑星科学会最優秀発表賞へは,5名の応募がありました.発表可能枠内の応募数であったため,予備審査は経ずに,9月28日の最優秀発表賞セッションおよびポスターセッションにおいて,応募者全員による口頭発表およびポスター発表を行いました.同日の選考委員会による審査ならびに運営委員会での審議の結果,瀧川晶会員(東京大学)ならびに保井みなみ会員(名古屋大学)が受賞者に選ばれました. 今回は応募件数が5件と少なかったものの,質の高い発表がそろいました.そのなかで,瀧川会員の発表「コランダムの凝縮異方性を用いた星周ダスト形成環境の推定」は,問題設定から結論に至るまでが明快に説明されていたことと,凝縮実験を中心に据えながら,星周でのダスト形成・惑星形成論に応用できる計算と観測をバランスよく加味して多角的に研究を進め,隣接分野との接点が的確に説明されていたことが高く評価されました.保井会員の発表「氷・シリカ混合物の流動則に対する空隙の効果:氷衛星の地形緩和への応用」は,問題設定から結論に至るまでが明快に組み立てられ,発表方法が模範的で優れていること,さらに複雑な室内実験データをまとめスケーリング測を導き,天体の熱史計算を加味して地形緩和の応用まで到達したことが高く評価されました. 残念ながら今回受賞対象とならかった発表も,力作で素晴らしいものでした.いずれも大きな問題に取り組んでいたことと,各自で研究内容を咀嚼していた点が評価できました.参考のために審査員の意見をかいつまんで以下に紹介します.奥住会員:原始惑星系円盤でのダスト成長について従来無視されてきた帯電効果を取り入れた独創的な問題設定をし,重要で面白い結果を得つつある.瀬藤会員:微小重力下での衝突実験は,小天体上への衝突過程を直接模擬する重要なテーマであり,さらなるデータ取得と解析を期待したい.山田会員:修士課程でありながら,量子力学計算を含む難度の高いテーマに挑戦し,堂々とした発表で将来性を感じる. 学年や応募経験の有無に関わらず,来年度以降も多くの学生会員からの応募を歓迎します。 |
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