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大阪大学
目次大学の概要大阪大学大学院理学研究科における惑星科学および周辺分野の教育研究
大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻宇宙地球科学専攻では、宇宙、地球・惑星、物質、生命の4つの分野(キーワード)を基軸に据えて、研究を進めています。日々の研究活動は、各研究グループ(現在8つ)を単位として展開しています。ここでは、この4つのキーワード毎に、各研究グループのカバーしている研究分野を紹介します。もちろん、これらの4つの分野はお互いに深く関連し合っており、しばしば各研究グループの研究内容も複数の分野にまたがったものになることは言うまでもありません。
宇宙 果てしなく広がる宇宙を理解することは、古よりの人類の夢でした。本専攻では、現代物理学の成果である最新知識に基づいた理論研究、およびハイテク技術を駆使した宇宙の観測研究の双方を行っています。「宇宙進化(高原)グループ」では、ビッグバンから現在に至る宇宙進化の理論研究と、銀河形成・星形成・ブラックホール・重力波等の多様な天体現象の理論研究を行っています。また「X線天文学(常深)グループ」では、日米欧の人工衛星を使い、X線による、超新星爆発・活動銀河核・ブラックホール等の宇宙の高エネルギー現象の観測研究とそのための技術開発を行っています。そして、「赤外線天文学(芝井)グループ」では、日本の赤外線望遠鏡衛星「あかり」で観測したり、世界初の遠赤外線干渉計を開発したりして、太陽系外惑星探査の研究を進めています。 地球・惑星 地球は、我々が住むかけがえのない星です。地球をより良く知ることは、人類の将来にとっても大変重要なことです。また、地球は太陽系の惑星の1つであり、地球の兄弟である他の惑星を理解することも大切です。本専攻では、同位体分析を主要な手段として太陽系や地球・惑星の形成史を探求する「惑星科学(寺田)グループ」、探査機リモートセンシング、シミュレーション実験、可視・近赤外分光やX線回折を主要な手段として地球・隕石等の惑星物質と天体進化を探究する「惑星物質学(佐々木)グループ」、学際理学的な視点から岩石・水相互作用などを軸とした水と生命の地球物理化学に関する実験的研究を展開する「地球物理化学(中嶋)グループ」、また、惑星深部の高温・高圧下における物質の状態を様々な実験・分析を通して探求する「惑星内部物質学(近藤)グループ」の4つの実験グループがあります。 物質 世界は様々な物質から形成されています。宇宙・地球を理解するには、その素材になっている物質、特にその極限条件下での諸性質を理解することが、欠かせません。本専攻には、計算機シミュレーションを主要な手段として物質の示す多様な相転移現象や固着‐すべり不安定としての地震現象等の理論研究を展開している「理論物質学(川村)グループ」があります。 生命 地球は生命を育む星です。宇宙・地球の中の生命の仕組みを解明し、その起源と進化を理解することは、我々自身を知り人類の将来を見据える意味でも大切なことです。本専攻においては、「地球物理化学(中嶋)グループ」が、有機無機相互作用に注目して、宇宙からもたらされる生命原材料物質の性質、原始生命化石中の分子記録、生体分子の機能と進化の解明などに実験的に取り組んでいます。 宇宙進化グループ 我々の宇宙は、140億年前にビッグバンとよばれる大爆発によって誕生しました。宇宙の膨張とともに、銀河や宇宙の大規模構造が形成され、その中で星が誕生し進化していきます。宇宙を舞台として超新星の爆発、元素の進化、ブラックホールの形成、重力波の放出、ガンマ線バーストの発生、高エネルギー宇宙線の加速等々の極限状況での物理現象が生起していきます。このような宇宙物理学・宇宙論の研究は理論・観測の両面にわたって急速に発展しており、新たな宇宙像が切り拓かれつつあります。宇宙の研究には宇宙を基礎物理学の検証の場として研究する立場と、観測事実を基礎に宇宙そのものの進化や天体現象を研究する立場の、双方からのアプローチが必要です。本グループはその双方を基軸とした理論的研究を進め、視野の広い研究者養成を行っています。具体的には、銀河や銀河団の形成と進化、ブラックホールや重力波放出などの一般相対論的宇宙物理学、ガンマ線バースト、宇宙ジェット、宇宙線加速などを研究する高エネルギー宇宙物理学、大規模数値シミュレーションによる星や銀河の形成、など幅広いテーマの研究を行っています。 教授: 長峯健太郎 准教授: 藤田 裕 助教: 田越 秀行、釣部 通 X線天文学グループ 宇宙には、いたるところに、光学的に薄く大変温度の高いプラズマが広がっています。例えば、銀河団では電磁波で見える大部分の質量が高温ガスです。つまり高温ガスの分布は宇宙の構造であり、その起源は宇宙進化そのものです。銀河系内では、超新星爆発で作られた高温ガスが、周辺のガスと衝突して、超高エネルギー宇宙線を作っています。ブラックホールなどの周辺では、数千万度あるいは数億度のプラズマが形成され、ジェットとして粒子を加速しています。我々は、これら宇宙の高温・高エネルギー現象を観測的に研究するため、日米欧の人工衛星を使いX線による宇宙観測を行っています。また、国際宇宙ステーションなどに搭載して、より精度の高い観測を行うためのCCDカメラの開発製作を行っています。さらに、将来のX線分光法やX線偏光測定法の研究も進めています。 教授: 常深 博 准教授: 林田 清 助教: 中嶋 大 理論物質学グループ 自然界には多様な物質があり、それらが互いに影響を及ぼし合ったり協調したりして、より複雑なシステムを構成しています。ミクロなスケールでは原子・分子から、マクロなスケールでは宇宙・地球に至るまでを、多自由度の相互作用系として理論的に解明するアプローチにチャレンジしています。目下の2大テーマは、物質の示す多様な相転移現象の解明と、固着‐滑り不安定性としての地震現象の解明です。これらを多体相互作用系の協力現象と捉える統計力学的観点から、主として計算機シミュレーションを用いた研究を行っています。 教授: 川村 光 准教授: 湯川 諭 助教: 吉野 元 惑星科学グループ 太陽系の固体物質(地球の岩石、アポロ月試料、火星や小惑星起源の隕石など)中に含まれる元素の同位体比の精密測定、有機化合物(C、H、O、N)の化学分析、室内型の微小重力発生装置を用いた磁気実験、宇宙環境における有機物の挙動の室内模擬実験、磁性/ESR測定等を通して、太陽系の初期形成史とその進化、ならびに惑星環境についての研究を行っています。特に、太陽系を構成する元素の起源、原始太陽系星雲内での微惑星の形成過程、原始惑星におけるコア・マントル・地殻など層構造の分化機構、惑星の大気・海洋の進化、地球と生命の共進化、星間ダストの整列現象、惑星および地球環境、などについての教育・研究を行っています。 教授: 寺田 健太郎 准教授: 植田 千秋、山中 千博 助教: 橋爪 光、薮田 ひかる 惑星内部物質学グループ 本グループでは、主に地球物理学・固体物理学を基盤として惑星内部の高温・高圧下にある物質の挙動に関する実験的研究を行っています。これらの極端条件を再現する手段として、レーザ-加熱ダイヤモンドアンビルを初めとする様々な高温高圧発生装置の開発を行っている他に、大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの大規模レーザー設備を用いた衝撃圧縮実験法を用い、これらの条件下での各種測定法の開発を行っています。研究内容は、地球や惑星の直接到達できない深部に相当する高温高圧力下での物質の合成、それらの物質の構造や物性の測定、放射光X線回折や分光学的手法によるその場観察実験などです。これらの実験で得られた結果を惑星規模の現象に応用し、地球惑星の構造と進化に関して物質科学的な解明を目差した研究を行っています。 教授: 近藤 忠 准教授: 谷口 年史、寺崎 英紀 助教: 境家 達弘 赤外線天文学グループ 本グループでは、赤外線観測によって太陽系外惑星系形成過程や大規模星形成・銀河形成過程の研究を行っています。これらの宇宙現象においては「星間塵」と呼ばれる固体微粒子が、赤外線へのエネルギー変換、宇宙化学反応の触媒など、極めて重要な役割を果たしています。星間塵は赤外線を強く放射するため、これを精密に観測することでさまざまな情報を引き出し、重要な宇宙現象の解明につなげています。赤外線の中でも波長の長い遠赤外線は地球大気が不透明になるために地上から観測ができません。そこで人工衛星や科学観測用大気球に望遠鏡を搭載して、宇宙からの精密観測を行っています。特に世界初の干渉計を開発し、これによって遠赤外線での空間分解能(解像度)を一挙に10倍以上高めるプロジェクトを進めています。また波長の短い赤外線(近赤外線)はハワイ島にある「すばる」望遠鏡で観測ができるため、原始惑星系円盤や若い巨大ガス惑星の検出を目指して観測を行う計画です。 教授: 芝井 広 准教授: 住 貴宏 助教: 深川 美里 惑星物質学グループ 自然現象は秩序(構造)から無秩序(無構造)へと向かうことが多い一方、人為的操作のないところに秩序構造が自発的に形成されることがあります(例えば、原始太陽系星雲からの惑星系形成、地球の層構造(地殻・マントル・核)形成、ケイ酸塩融体(マグマ)からの火成岩形成など)。このように最初は均一だったものが異質なものに分かれることを分化と呼び、その過程で多様な形や組織・パターンをもつ非平衡構造(散逸構造)が形成されます。我々のグループでは、探査機データや様々な実験的手法を用いて、地球惑星物質(宇宙塵、隕石、岩石、地球表層・深部物質など)のもつ非平衡構造からその形成に関する情報(履歴など)を読み取るとともに、その構造が発露する機能(物性など)を理解し、地球惑星での諸現象を解明しようとしています。 教授: 佐々木 晶 准教授: 大高 理、佐伯 和人 助教: 谷 篤史 地球物理化学グループ 地球や惑星の主として表層で起きている動的な過程(火山・地震活動、地殻変動、物質移動・反応・循環、資源の集積、環境汚染、生命の起源と進化等)は、水、無機物質(岩石・鉱物)、有機物質、生物等が複雑な相互作用を行っている結果です。そこで、水、溶存物質、無機・有機物等の性質及び岩石・水相互作用、有機無機相互作用、生命現象等を定量的に物理化学的に記述し、動的過程の機構と時間スケール等を解明し、地球惑星表層変動、生命現象の予測を行い、実在世界の総合自然科学を構築していきます。 教授: 中嶋 悟 准教授: 久冨 修、廣野 哲朗 助教: 桂 誠、横山 正 大学院入試情報(大学院理学研究科宇宙地球科学専攻)宇宙地球科学専攻は、宇宙・地球・物質・生命という多様な対象を、基礎科学の立場から、とりわけ基礎物理を重視して研究しています。専攻のこのような特徴を生かすため、平成17年度入試より、博士前期課程(つまり修士課程)の募集・入学試験は以下のように2期に分けておこなっています。8月下旬に行われる第1次募集(定員28名)では物理学専攻と合同で試験を行い、基礎物理を重視した試験で選考を行います。第2次募集(定員若干名)では主として天文学、地球物理学、地質学、岩石鉱物学、生物学、さらには工学等、多様なバックグラウンドを持った意欲ある学生を対象とした試験を行います。これまで受けてきた教育の内容も大事ですが、何より研究対象に興味を持ち、研究への熱意を持っている人材を広く求めています。
博士前期(修士)課程 ◆第1次募集 例年通り8月末に行われます。募集定員は例年通り28名です。物理学を重視する当専攻の方針により、第1次募集は物理学専攻と同時に、共通の筆記試験と口頭試問によって行われます。第1日目に物理学と英語の筆記試験、その合格者に対し第2日目と第3日目に志望分野別の口頭試問が行われます。物理学の試験は基礎物理学の各分野から出題されます。 口頭試問はコース別に行います。志望はコースを第2希望まで選択し、各志望コースの中で志望研究グループを6つまで願書に書くことができますので、研究グループの配属については最大で第12希望まで指定できることになります。宇宙地球科学専攻所属の各研究グループのコース名と研究分野、対応する研究グループ名は以下の通りです。この他にも、各コースには物理学専攻所属の研究グループが含まれ、全体としては6つのコースに分かれて行われます。 コース 研究分野 研究グループ名 A2 宇宙地球実験A 常深、芝井、高部(協力講座) B2 宇宙地球実験B 近藤、佐々木、中嶋、寺田 C1 理論1 宇宙進化 C2 理論2 川村 2013年8月28日(水)筆記試験 物理・英語 8月29日(木)口頭試問受験資格者の発表、口頭試問 8月30日(金)口頭試問 9月 6日(金)(予定) 最終合格者発表 募集要項は、大阪大学理学部大学院係に申し込んで下さい。あわせて、「物理学専攻・宇宙地球科学専攻 入学案内資料(専攻紹介冊子)」も申し込むことが望ましいです。そこに各面接コースと各研究グループの紹介が載っています。 ◆第2次募集 第2次募集は宇宙地球科学専攻独自の試験によって行われます。募集人員は若干名です。筆記試験は英語と宇宙地球科学・小論文です。小論文は天文学・宇宙物理、地球科学、物性、一般物理から選択問題として出題されます。あわせて口頭試問を行います。この試験は、当専攻の研究対象に興味を持った幅広いバックグラウンドの学生を受け入れることを主眼として実施するものです。2014年の試験は10月25日(土)に行われる予定です。 募集要項は、9月上旬以降、大阪大学研究科大学院係に申し込んで下さい。あわせて、 「宇宙地球科学専攻 入学案内資料(専攻紹介冊子)」も申し込んでください。冊子には、各研究グループの紹介が載っています。 博士後期(博士)課程 ◆4月入学 入学試験は2月に行われます。募集定員は13名です。募集要項は11月にできますので、大阪大学理学部大学院掛に申し込んで下さい。 ◆10月入学 募集要項は5月下旬にできますので、大阪大学理学部大学院掛に申し込んで下さい。募集人員は若干名です。 募集要項、入学案内資料の入手に関しては下記のサイトをご覧ください。 大学院入試情報 募集要項等の問い合わせ先:〒560-0043 豊中市待兼山町1−1 大阪大学理学研究科大学院係 電話:06-6850-5289 e-mail: ridaigakuin"at mark"ns.jim.osaka-u.ac.jp (at markを@に変更して送信してください) |