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大阪大学
目次大学の概要大阪大学大学院理学研究科における惑星科学および周辺分野の教育研究
大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻 当宇宙地球科学専攻は、宇宙・惑星・地球を舞台に起こる様々な自然現象や、生命までを含む多様な物質の極限状態を、物理学を基礎として解明し、伝統的な天文学や地球惑星科学とは異なった視点からの宇宙地球科学の構築を目指すべく設立された、全国にも類を見ないユニークな専攻です。本専攻は、「宇宙惑星進科学講座」、「自然物質学講座」、「極限物質学講座」の3つの大講座から成り立っており、それらには宇宙物理学、X線・赤外線天文学、惑星科学、地球物理化学、固体地球科学、極限物性学、物性理論などが含まれています。本専攻においては基礎物理学を重視しており、教育研究は本理学研究科の物理学専攻との緊密な連携のもとに行われています。しかしながら、物理学科出身者に限ることなく、天文学、地球物理学、地学、鉱物学、生物学、工学など、多様なバックグラウンドを持った人材を広く求めています。そして、従来の学問の因習的な縦割りにとらわれることなく、学際領域の開拓と新たな総合科学としての宇宙地球科学の構築を目指しています。これらの研究から得られる成果は、21世紀の地球環境問題、生命の起源や将来の人類の生活にも、新たな展望を拓くに違いありません。
・地球物理化学グループ 私たちの地球の表層では、地殻変動、火山・地震活動、資源の集積、環境汚染などの動的現象が起きています。これらは、水、無機物質、有機物質、生物等が複雑な相互作用を行っている結果です。そこで、これらの相互作用を、可視・赤外光などを用いてありのままに観測する方法を開発し、その機構と速度、時間スケールを調べ、地球惑星表層環境変動の長期予測を行っています。特に、岩石のせまい結晶粒界にはさまれた水の不思議な(氷に近い)性質と、それが地震や岩石の風化、廃棄物の地下貯留などに及ぼす影響を調べています。また、宇宙からもたらされる生命の原材料有機物を調べ、その生成過程を再現する実験を行い、さらに、原始地球での生命の化学進化に果たした鉱物の役割を実験的に調べています。それらの研究に加え、生体内に存在する分子がどのように働いているかを調べる研究も行っています。生体分子の機能や進化は、地球環境とも密接に関連していると考えられます。このような複雑な過程をありのままに定量的に調べる学際研究によって、実在世界の総合自然科学を構築していきます。 <スタッフ> 中嶋 悟、廣野 哲朗、久冨 修、桂 誠、横山 正 ・惑星物質学グループ 自然現象は秩序(構造)から無秩序(無構造)へと向かうことが多い一方、人為的操作のないところに秩序構造が自発的に形成されることがあります(例えば、原始太陽系星雲からの惑星系形成、地球の層構造(地殻・マントル・核)形成、ケイ酸塩融体(マグマ)からの火成岩形成など)。このように最初は均一だったものが異質なものに分かれることを分化と呼び、その過程で多様な形や組織・パターンをもつ非平衡構造(散逸構造)が形成されます。我々のグループでは、様々な実験的手法を用いて、地球惑星物質(宇宙塵、隕石、岩石、地球表層・深部物質など)のもつ非平衡構造からその形成に関する情報(履歴など)を読み取るとともに、その構造が発露する機能(物性など)を理解し、地球惑星での諸現象を解明しようとしています。 <スタッフ> 土`山 明、大高 理、佐伯 和人、谷 篤史 ・惑星内部物質学グループ 本グループでは、主に地球物理学・固体物理学を基盤として高温・低温・高圧・強磁場等の特殊条件下における物質に関する実験的研究を行っています。研究内容は、地球や惑星の直接到達できない深部に相当する高温高圧力下での物質の合成、それらの物質の構造や物性の測定、放射光X線回折や分光学的手法によるその場観察実験、様々な高温高圧発生装置と各種測定装置の開発、地球惑星科学現象への応用と理解を目差した研究の他に、純粋な物性物理学として、固体中の強い量子力学的ゆらぎが支配する種々の物理現象、ランダムネスや相互作用のフラストレーションなどの介在する非自明な相転移現象を、超高感度の電気・磁気測定などの巨視的観測と、中性子散乱実験やX線散乱実験などの微視的観測を用い、様々な極限環境下での物質科学的研究を行っています。 <スタッフ> 近藤 忠、境家 達弘 ・惑星科学グループ 太陽系における、地球などの惑星、月や隕石物質中に含まれる元素の同位体比の精密測定や磁性/ESR測定等を通して、太陽系の初期形成史とその進化ならびに惑星環境についての研究を行っています。特に、隕石や惑星の原始太陽系内での形成過程、惑星におけるコア・マントル・地殻など層構造の分化機構、惑星の内部構造、地球の海洋を含む惑星大気の起源と進化、隕石中の太陽系外物質、星間ダストの整列現象などの問題、惑星および地球環境、食物生態環境などについての研究を行っています。 <スタッフ> 松田 准一、植田 千秋、山中 千博、橋爪 光、薮田 ひかる ・X線天文学グループ 宇宙には、いたるところに、光学的に薄く大変温度の高いプラズマが広がっています。例えば、銀河団では電磁波で見える大部分の質量が高温ガスです。つまり高温ガスの分布は宇宙の構造であり、その起源は宇宙進化そのものです。銀河系内では、超新星爆発で作られた高温ガスが、周辺のガスと衝突して、超高エネルギー宇宙線を作っています。ブラックホールなどの周辺では、数千万度あるいは数億度のプラズマが形成され、ジェットとして粒子を加速しています。我々は、これら宇宙の高温・高エネルギー現象を観測的に研究するため、「すざく」をはじめとする日米欧の人工衛星を使いX線による宇宙観測を行っています。また、国際宇宙ステーションなどに搭載して、より精度の高い観測を行うためのCCDカメラの開発製作を行っています。さらに、将来のX線分光法やX線偏光測定法の研究も進めています。 <スタッフ> 常深 博、林田 清、宮田 恵美 ・赤外線天文学グループ 赤外線観測によって太陽系外惑星系形成過程や大規模星形成・銀河形成過程の研究を行っています。これらの宇宙現象においては「星間塵」と呼ばれる固体微粒子が、赤外線へのエネルギー変換、宇宙化学反応の触媒など、極めて重要な役割を果たしています。星間塵は赤外線を強く放射するため、これを精密に観測することでさまざまな情報を引き出し、重要な宇宙現象の解明につなげています。赤外線の中でも波長の長い遠赤外線は地球大気が不透明になるために地上から観測ができません。そこで人工衛星や科学観測用大気球に望遠鏡を搭載して、宇宙からの精密観測を行っています。特に世界初の干渉計を開発し、これによって遠赤外線での空間分解能(解像度)を一挙に10倍以上高めるプロジェクトを進めています。また波長の短い赤外線(近赤外線)はハワイ島にある「すばる」望遠鏡で観測ができるため、原始惑星系円盤や若い巨大ガス惑星の検出を目指して観測を行う計画です。 <スタッフ> 芝井 広、深川 美里 ・理論物質学グループ 自然界には多様な物質があり、それらが互いに影響を及ぼし合ったり協調したりして、より複雑なシステムを構成しています。ミクロなスケールでは原子・分子から、マクロなスケールでは宇宙・地球に至るまでを、多自由度の相互作用系として理論的に解明するアプローチにチャレンジしています。目下の2大テーマは、物質の示す多様な相転移現象の解明と、固着‐滑り不安定性としての地震現象の解明です。これらを多体相互作用系の協力現象と捉える統計力学的観点から、主として計算機シミュレーションを用いた研究を行っています。 <スタッフ> 川村 光、湯川 諭、吉野 元 ・極限構造物性学グループ 中性子・X 線散乱を用いた極限環境下における構造物性の実験的研究を行っています。われわれは、強相関電子系・リラクサー誘電体・スピングラスなどの示す「新奇な相転移」や「不均質性と巨視的異常との関係」に関心をもっています。これらの系で重要な役割を果たすと考えられている「ナノスケール不均質性」や「量子ゆらぎ」を解明するため、電子の内部自由度(電荷・スピン・軌道)が結晶格子上に形成する空間構造とそのダイナミクスを研究しています。物質科学は宇宙地球科学の基盤を支える学問であり、本質的不均質性への問題意識と極限環境下の構造物性研究手法は、地球深部や惑星などにおける物質生成の機構解明にも大きく貢献できると考えています。 <スタッフ> 廣田 和馬、谷口 年史、松浦 直人 ・宇宙進化学グループ 我々の宇宙は、140億年前にビッグバンとよばれる大爆発によって誕生しました。宇宙の膨張とともに、銀河や宇宙の大規模構造が形成され、その中で星が誕生し進化していきます。宇宙を舞台として超新星の爆発、元素の進化、ブラックホールの形成、重力波の放出、ガンマ線バーストの発生、高エネルギー宇宙線の加速等々の極限状況での物理現象が生起していきます。このような宇宙物理学・宇宙論の研究は理論・観測の両面にわたって急速に発展しており、新たな宇宙像が切り拓かれつつあります。宇宙の研究には宇宙を基礎物理学の検証の場として研究する立場と、観測事実を基礎に宇宙そのものの進化や天体現象を研究する立場の、双方からのアプローチが必要です。本グループはその双方を基軸とした理論的研究を進め、視野の広い研究者養成を行っています。具体的には、銀河や銀河団の形成と進化、ブラックホールや重力波放出などの一般相対論的宇宙物理学、ガンマ線バースト、宇宙ジェット、宇宙線加速などを研究する高エネルギー宇宙物理学、大規模数値シミュレーションによる星や銀河の形成、など幅広いテーマの研究を行っています。 <スタッフ> 高原 文郎、藤田 裕、田越 秀行、釣部 通 ・実験的宇宙惑星物理学グループ(レーザーエネルギー学研究センター内協力講座) 「宇宙物理学とは地上で検証された物理を駆使して宇宙で観測される不思議な現象を解き明かす学問である」と著名な宇宙物理学者が述べている。大出力高強度レーザーの技術躍進で、宇宙の爆発現象や複雑な物理、惑星内部の超高気圧状態を再現することができるようになった。超新星爆発などに代表される爆発現象や爆風波による宇宙線の加速、ブラックホールによる降着円盤、隕石衝突などを実験室に再現し、宇宙惑星物理を解明していく。理論のスタッフ(高部、加藤、WANG)と実験のスタッフ(坂和、門野、蔵満)が、国内・国外の研究者と共同研究し、阪大や英国、仏国、中国の大規模レーザーを利用して宇宙物理を解明する。院生は理論の指導も受けながら国内外で実験に携わる。 <スタッフ> 高部 英明、坂和 洋一、門野 敏彦 大学院入試情報(大学院理学研究科宇宙地球科学専攻) 宇宙地球科学専攻は、宇宙・地球・物質・生命という多様な対象を、基礎科学の立場から、とりわけ基礎物理を重視して研究しています。専攻のこのような特徴を生かすため、平成17年度入試より、博士前期課程(つまり修士課程)の募集・入学試験は以下のように2期に分けておこなっています。8月下旬に行われる第1次募集(定員28名)では物理学専攻と合同で試験を行い、基礎物理を重視した試験で選考を行います。第2次募集(定員若干名)では主として天文学、地球物理学、地質学、岩石鉱物学、生物学、さらには工学等、多様なバックグラウンドを持った意欲ある学生を対象とした試験を行います。これまで受けてきた教育の内容も大事ですが、何より研究対象に興味を持ち、研究への熱意を持っている人材を広く求めています。
博士前期(修士)課程 ◆第1次募集(出願期間2008年7月15日(火)〜7月18日(金)) 募集定員は例年通り28名です。物理学を重視する当専攻の方針により、第1次募集は物理学専攻と同時に、共通の筆記試験と口頭試問によって行われます。第1日目に物理学と英語の筆記試験、その合格者に対し第2日目と第3日目に志望分野別の口頭試問が行われます。物理学の試験は基礎物理学の各分野から出題されます。 2008年8月25日(月)筆記試験 物理・英語 8月26日(火)口頭試問受験資格者の発表、口頭試問(第一希望コースおよび第二希望コース) 8月27日(水)口頭試問(第二希望コース) 9月10日(水)合格者発表予定 募集要項は、大阪大学理学部大学院係に申し込んで下さい。あわせて、「物理学専攻・宇宙地球科学専攻入学案内資料(専攻紹介冊子)」も申し込むことが望ましいです。そこに各面接コースと各研究グループの紹介が載っています。 ◆第2次募集 第2次募集は宇宙地球科学専攻独自の試験によって行われます。募集人員は若干名です。筆記試験は英語と小論文です。小論文は天文学・宇宙物理、地球科学、物性、一般物理等から選択問題として出題されます。あわせて口頭試問を行います。この試験は、当専攻の研究対象に興味を持った幅広いバックグラウンドの学生を受け入れることを主眼として実施するものです。 平成21年度入試は、11月8日(土)に行われる予定です。 募集要項は、10月上旬頃にできあがる予定ですので、大阪大学理学部大学院係に申し込んで下さい。 博士後期(博士)課程 ◆4月入学 入学試験は2月に行われます。募集定員は13名です。募集要項は11月にできますので、大阪大学理学部大学院係に申し込んで下さい。 ◆10月入学 募集要項は6月下旬にできますので、大阪大学理学部大学院掛に申し込んで下さい。募集人員は若干名です。 募集要項、入学案内資料の入手に関しては下記のサイトをご覧ください。 大学院入試情報 募集要項等の問い合わせ先:〒560-0043 豊中市待兼山町1−1 大阪大学理学部大学院係 電話:06-6850-5289 e-mail: rigakudaigakuin"at mark"ns.jim.osaka-u.ac.jp (at markを@に変更して送信してください) |
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