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2026年度最優秀発表賞 選考の結果と講評

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2026年度最優秀発表賞 選考の結果と講評

最優秀発表賞受賞者は 山下 光葉 会員(東京大学),
優秀発表賞受賞者は 河合 優悟 会員(東京大学)に決定

学会賞選考委員会委員長 木村 淳

今年度の最優秀発表賞・優秀発表賞には17名の応募がありました.応募資格を満たした14名に対して提出された予稿に基づく予備審査を実施し,9名を本審査対象としました.そしてこの9名について,秋季講演会初日(9月14日)午後の最優秀発表賞選考特別セッションにおける口頭発表,および,夕方に個別審査で構成される本審査を実施しました.審査員が共著者や指導的立場にあった場合,その発表に対する評価は,参考データの扱い(予備審査時)および不実施(本審査時)とし,公平性を担保しました.

翌日(9月15日)午後に開催した学会賞選考委員会による選考ならびに運営委員会での審議の結果,2026年度の最優秀発表賞受賞者は,山下光葉会員(東京大学,講演題目「巨大衝突盆地の掘削物の組成解析から探る月の初期火成活動史」)に決定いたしました.9月16日の日本惑星科学会第66回総会において授賞式が行われ,山下会員には,今村会長から賞状と副賞10万円がそれぞれ贈呈されました.

また,2026年度優秀発表賞受賞者は,河合優悟会員(東京大学,講演題目「楕円軌道のホットジュピターを用いた系外ガス惑星の内部構造の推定」)に決定いたしました.9月16日の日本惑星科学会第66回総会において授賞式が行われ,河合会員には,今村会長から賞状が贈呈されました.

山下会員の研究は,大規模な衝突盆地形成前の火成活動という,これまでアプローチすることが困難だった時代の月の歴史について,その活動の有無や規模を見極めることに挑むもので,複数の探査データを駆使した月地質研究です.山下会員は,従来の手法では困難だった小地形の分光解析といった手法の確立から主体的に行い,鉄チタン量の推定や地形新鮮度の評価など個別の目的に沿って自ら解析手法を開発しています.単に既存の探査プロダクトを組み合わせるだけではなく,探査データの適用限界を広げていく姿勢が高く評価されました.さらに,それによって得られる多種多様な情報を分かりやすく整理し,丁寧なプレゼンテーションと明解なスライドデザインを持って的確に伝える力にも,目を見張るものがありました.今回のアプローチを月面上の他の衝突盆地へも適用していくことで,月初期の火成活動の全体像に迫る展開も期待でき,月科学全体への波及効果も大きいものがあります.個別審査では,発表では割愛されていた膨大な検討が背景にあることも良く伝わってきました.このように,山下会員は今後の日本の惑星探査業界の発展に大きく貢献しうる人材であることから,最優秀発表賞の授与を決定しました.

河合会員は,ホットジュピターの近点歳差を観測することで潮汐ラブ数を導出し,さらにそこから内部密度構造を推定することで,ホットジュピターWTS-2bが重元素とガスが混合した低密度コアを持つ可能性を観測的に指摘しました.研究の着想と目標,そこへ至る手段と結果説明を視覚へ効率的に訴える明快なスライドで行ったプレゼンにも,強い説得力と迫力がありました.また,観測から内部構造推定に至るまでの本人の主体性や貢献度も極めて高く,内部構造推定の縮退や不定性に対する理解も深く説明も明瞭で,さらに近点歳差を検証する追加観測も,自らがPIとなって計画・推進しており,自立した研究姿勢とこの先の強い展開力も高く評価されました.よって,優秀発表賞の授与を決定しました.

今年度の発表賞応募者は,皆さんそれぞれが個性ある多様なテーマとストーリーをしっかり作り上げ,それを限られた時間の中で最大限に伝えようという姿勢が伝わってきました.予備審査・本審査いずれにおいても,「研究内容の科学的な質と独創性」,「研究に対する選考対象者の貢献度と理解度」,「プレゼンテーション(予備審査においては予稿)の技量」が評価対象でした.これに加えて本審査では,「質疑における応答の的確性」も評価対象でしたので,今回応募された方もそうでない方も,今後の参考にしていただければと思います.学会賞選考委員一同,この発表賞が学生の皆さんの研究のモチベーションのひとつとなり,さらに研究内容と発表技術を向上させる契機となることを期待します.来年度応募資格をお持ちの方の積極的な応募を歓迎します.最後に,受賞されたお二人には特に,今後も継続した学会への貢献を強く願っています.

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