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2023年度最優秀発表賞 選考の結果と講評

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2023年度最優秀発表賞 選考の結果と講評

最優秀発表賞受賞者は湯本航生会員(東京大学),
優秀発表賞受賞者は吉田雄城会員(東京大学)と土井聖明会員(総合研究大学院大学,国立天文台)に決定!

学会賞選考委員会委員長 黒川 宏之

今年度の最優秀発表賞・優秀発表賞には過去最多となる19名の応募がありました.本審査可能枠の応募数を超えたため,この19名について提出された予稿に基づく予備審査を実施し,10名を本審査対象としました.そして,秋季講演会初日(10月11日)午前の最優秀発表賞選考特別セッションにおける口頭発表と,昼休みから午後にかけての個別質疑で構成される本審査を実施いたしました.同日夕方に開催した学会賞選考委員会による選考ならびに運営委員会での審議の結果,2023年度の最優秀発表賞受賞者は,湯本航生会員(東京大学,講演題目「はやぶさ2搭載光学航法カメラとOSIRIS-REx搭載MapCamの相互校正による小惑星Ryugu・Bennuのスペクトル進化の比較分析」,共著者は巽瑛理さん,長勇一郎さん他)に決定いたしました.10月12日の日本惑星科学会第60回総会において授賞式が行われ,湯本会員には竝木会長から賞状と賞金10万円が贈呈されました.

また,2023年度優秀発表賞受賞者は,吉田雄城会員(東京大学,講演題目「分子動力学シミュレーションで探るダストモノマー間相互作用:JKR 理論の拡張」,共著者は小久保英一郎さん,田中秀和さん)と,土井聖明会員(総合研究大学院大学,国立天文台,講演題目「原始惑星系円盤 HD 163296 のダストサイズ推定:ダストリング幅の観測波長依存性からの制限」,共著者は片岡章雅さん)の2名を選出いたしました.10月12日の総会の授賞式において,吉田会員と土井会員には竝木会長から賞状が贈呈されました.

湯本会員は,はやぶさ2搭載光学航法カメラとOSIRIS-REx搭載MapCamの両機器について,月観測データによる装置感度の再校正を行い,RyuguとBennuのスペクトルの統合的な解釈を初めて可能にしました.また,自ら校正したデータの解析の結果,2天体が類似の初生スペクトルから宇宙風化を通じて同じトレンドを逆方向に進化したという興味深い事実を突き止め,さらにはその物理的解釈も提案しました.これら惑星科学研究への寄与の大きな研究成果とともに,研究内容をわかりやすく纏め上げたプレゼン技術を高く評価し,最優秀発表賞の授与を決定いたしました.

吉田会員は,惑星形成におけるダスト衝突過程について,分子動力学計算にもとづき反発係数を求めることで,高速衝突において反発係数が大きく減少するなどの振る舞いを明らかにしました.さらに,JKR理論を拡張することで,従来理論と比較して分子動力学計算結果をよく再現する理論の構築を行いました.これらの研究成果を評価するとともに,今後の惑星形成過程の研究への応用への期待を込めて,優秀発表賞の授与を決定いたしました.

土井会員は,ALMA望遠鏡を用いた2波長の高空間解像度観測画像の結果を用いた原始惑星系円盤のダストリングにおけるダストサイズ推定方法を提案し,実際にこれを原始惑星系円盤HD163296 に適用することで,手法の実用性を実証しました.さらに,推定されたダストサイズをもとに,この円盤におけるダスト成長過程に制約を与えました.これらの研究成果を評価するとともに,今後行われる異なる波長バンドでの観測や将来的に異なる円盤に手法を適用するといった発展への期待を込めて,優秀発表賞の授与を決定いたしました.

今年度も応募者の発表レベルはいずれも極めて高く,選考委員会の議論は白熱しました.残念ながら受賞に至らなかった方々は,今後さらに研鑽を積み,来年度以降も資格がある方については,是非,最優秀発表賞・優秀発表賞に再挑戦していただきたいと思います.予備審査・本審査いずれにおいても,論理の的確性,目的・手法・結論の明瞭性,研究の(ある程度の)完結性,科学的な質,分野への波及効果といった点が評価対象となります.本審査ではこれに加えて,プレゼン技術と質疑応答の的確さも評価対象となります.今後応募される際の参考にしていただければと思います.

学会賞選考委員一同,この発表賞が学生の皆さんの研究のモチベーションのひとつとなり,さらに発表技術を向上させる一助になればと思っております.来年度以降も,多くの学生会員からの応募を歓迎いたします.

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