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最優秀研究者賞選考経過の講評

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選考経過の講評

2020年度選考委員会委員長 野村英子(国立天文台)

日本惑星科学会2020年度「最優秀研究者賞」は2021年1月に募集要項を公表し,2021年2月に応募受付を始め,2021年3月22日に応募を締め切りました.応募者は9名と例年に比べて多かったのですが,足切りは行わず,全員を選考対象としました.

選考は,各選考委員が応募書類を精査した後,2021年5月13日に全選考委員が参加して審議を行いました.審議では,研究業績,惑星科学への寄与,将来にわたって惑星科学会の中核となって活躍が期待できるか,研究の独自性・独立性と創造性,惑星科学への波及効果,学術講演会への参加状況,学会運営への関与,など,さまざまな観点から議論しました.優れた応募者が多く,選考作業は大変難しいものでした.各委員からの評価意見とそれを元にした総合的な評価検討の結果,まず,3名の候補者に絞り込みました.審査委員による記名投票を行い,最終的に,次の2名の方が同票数で一位となりました.2名の方の優劣は付けがたく,両名を受賞者として運営委員会に報告して承認されました.

受賞者 (ABC順)

  氏名: 平野 照幸 (ひらの てるゆき)
  所属: 自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター

  氏名: 片岡 章雅 (かたおか あきまさ)
  所属: 国立天文台科学研究部

以下に,選考委員会による評価等を紹介します.

平野会員についての講評:

地球型惑星の特徴づけという新たな展開を迎えつつある系外惑星探査の分野で,先駆性の高い,重要な研究成果を多数あげている点で,高い評価を得た.最近の研究成果としては,すばる望遠鏡赤外線高分散分光観測装置IRDの開発に幅広く貢献し,特に,近赤外線高精度視線速度測定において,最高精度を可能にするデータ解析法を確立した.また,その解析法に基づき,TRAPPIST-1などのM型矮星周りの惑星の公転軌道と恒星スピンのずれに関する特徴づけに,世界で初めて成功した.これ以外にも,Kepler衛星のK2ミッションにおいて,M型矮星まわりの惑星候補の地上追観測に特化した国際研究チームを主導して多数の惑星候補を発見し,その統計的性質を明らかにすることで,惑星形成への示唆に富む重要な研究成果をあげている.このように科学面で重要な成果をあげる一方で,次世代赤外線宇宙望遠鏡サイエンス検討会の太陽系・系外惑星班の班長として活躍し,班を牽引して最終報告書をまとめあげ,惑星科学コミュニティーに貢献している.今後も,系外地球型惑星探査とその特徴づけに関する発見を通じて,惑星科学に新たな知見をもたらす研究成果をあげ続けると共に,若手育成も含め,惑星科学会を活性化させる活動を期待する.

片岡会員についての講評:

ALMA望遠鏡などをもちいた原始惑星系円盤の詳細観測により,新たな研究の道が開かれた惑星形成論の分野で,独自性の高い,著名な研究成果を多数あげている点で,高い評価を得た.最近の研究成果としては,円盤からのミリ波・サブミリ波ダスト偏光放射に関する全く新たな機構を理論的に提案し,かつ,その特性を利用して,円盤内のダストサイズが従来考えられていたものより小さいことを,自らALMA観測を行い,発見した.ダストのミクロ物理の理論と最新観測の両面からのアプローチで,惑星形成の第一段階であるダスト成長過程に制限を与える,非常にインパクトの高い研究成果である.これ以外にも,空隙率の高いダスト・アグリゲイトの圧縮強度を明らかにし,ダストから微惑星に至るまでの内部密度進化を統一的に明らかにする重要な研究成果をあげており,この研究も惑星科学の幅広い分野で大きなインパクトをもたらしてきた.最近は,若手ポスドクや学生の教育指導にも力を入れており,ALMA観測と理論に基づき円盤内ダストの性質に制限を与える研究など,多くの研究成果をあげている.今後も,天文観測のみならず,実験や惑星探査も含め幅広くアンテナを張り,理論と観測を融合した独創性の高い研究成果をあげ続け,惑星科学会を牽引する活躍を期待する.

最後に,今回の選考において残念ながら選に漏れた方々も,その研究は非常に魅力的でありかつ高い水準にあることを,付言させていただきます.惑星探査に寄与する重要な成果をあげた研究も多数ありました.受賞者をはじめ,応募者全員が今後も大いに活躍し,惑星科学会を盛り上げていただくことを期待しています.

2021年6月8日

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