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選考経過の講評
選考委員会委員長 荒川 政彦 (名古屋大学))
2008年度「日本惑星科学会最優秀発表賞」へは,7名の応募がありました.口頭発表可能な枠内の応募人数であったため,予備審査は行なわず,応募者全員に11月1日に口頭発表とポスター発表をしていただきました.同日の選考委員会による審査ならびに運営委員会での審議の結果,講演番号112,P004「M型星における中心星近傍領域での惑星集積N体シミュレーション」を発表された東京工業大学の荻原正博会員が最優秀発表賞に選ばれました(共著者:井田茂さん).翌11月2日の日本惑星科学会第30回総会において授賞式が行われ,荻原会員には,林会長から,賞状と賞金10万円が贈られました. 今回の最優秀発表賞にエントリーされた方の発表はどれも素晴らしく,甲乙つけ難いものでした.その中で,荻原さんが受賞された理由は,まず第一にプレゼンテーションが非常に分かり易かった点が挙げられます.起承転結がクリアであり,研究内容が良く整理されていて聞き応えのある発表だったと言えます.第二にその研究内容が高く評価されました.荻原さん研究は,惑星の落下と合体成長を組み合わせて系外惑星系の特に中心星近傍の惑星の性質・起源を明らかにするというものでした.この結果は,今後のM型星周りの地球型惑星観測との比較において重要だと言うことで高く評価されました. 今回は残念ながら受賞に至りませんでしたが,他の応募者の方々の研究発表も大変に素晴らしいものでした.今後の参考までに一言づつ,選考委員からのコメントを紹介いたします.小郷原さん:発表された研究に関して深く理解しており,自分で研究を進めていることが良く伝わっている.古川さん:大変ユニークな実験で,面白くかつ分かり易い発表ということで選考委員の中でも評価が高かった.福江さん:偏光観測の結果を解析するための大変良いプログラムを開発したとのことで,今後の研究の発展が期待できる.加藤さん:研究内容に関して非常に高く評価できる.発表されたMRIの研究はこれから発展する可能性が高く,今後に期待するという意見が多くあった.福井さん:コンドライト隕石母天体の起源などに重要なモデルを提案しており,研究結果は高く評価できる.二村さん:大変良い反射スペクトル解析モデルを開発したとのことで,今後は探査データにどんどん応用して結果を出して行って欲しい,等の意見が審査員からありました. このようにすべての応募者の発表はそれぞれに特長のある力作揃いでした.今後さらに研鑽を積み,次回の最優秀発表賞にも再度挑戦してください.今回は,応募者の皆さんのおかげで,レベルの高い発表賞セッションを開催することができました.次回はさらに多くの会員が応募されることを期待します. |
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