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選考経過の講評
選考委員会委員長 関谷 実 (九州大学)
2007年度「日本惑星科学会最優秀発表賞」へは,10名の応募がありました.口 頭発表可能な枠内の応募人数であったため,予備審査は行なわず,応募者全員 に9月25日に口頭発表とポスター発表をしていただきました. 同日の選考委員会による審査ならびに運営委員会での審議の結果,講演番号116, P101「合体成長過程におけるダスト圧縮過程の数値計算とその定式化」を発表 された北海道大学の陶山徹会員が最優秀発表賞に選ばれました(共著者:和田 浩二さん,田中秀和さん).翌9月26日の日本惑星科学会第28回総会において授賞式が行われ,陶山会員には,林会長から,賞状と賞金10万円が贈られました. 陶山会員の発表は,原始惑星系円盤内のダストの付着成長過程に関するもので す.ダスト相互に働く力を考慮に入れた上で,ダストの付着成長過程のN体数 値シミュレーションを行い,ダスト集合体の密度を質量の関数として求められ ました。さらに圧縮に対抗する実効圧力を求めることにより,解析的に数値シ ミュレーションの結果を再現されました.その結果,氷ダストの場合は,これ まで考えられていたように圧縮により物質密度に近い状態になることはなく, 低密度のままでダストが成長するという新しい結果が示されました.この結果 は,惑星形成初期の微惑星形成過程の議論に大きな影響を与える優れた業績で す.かなり高度な数値シミュレーションを行っていること,昨年の発表からさ らに進んだ結果をきれいな形にまとめていること,問題設定や手法などを分か りやすい説明をされたプレゼンテーション能力など高く評価されました. 今回の審議では陶山会員が選考委員の多くの支持を得て,受賞者として推薦さ れました.しかしながら,このことは他の応募者のレベルが低かったというこ とではなく,全体として高いレベルの研究発表の中で受賞者の発表が相対的に 抜きん出ていたということです.とくに,名古屋大学の岡本千里会員の発表が, 評価されました.その他の応募者の発表もそれぞれに特長のある力作揃いでし た. 今後さらに研鑽を積み,次回の最優秀発表賞にも再度挑戦してください. 今回は,積極的な応募のおかげで,昨年より応募者が増えました.次回はさら に多くの会員が応募されることを期待します. 2007年10月9日 |
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