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「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルの初期分析成果に関する声明

「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルの初期分析成果に関する声明
2023年3月22日

「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルの初期分析成果に関する声明

日本惑星科学会

2023年3月20日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプルの初期分析成果に関する記者説明会を行いました。

今回の初期分析では、世界で初めて持ち帰られたC型小惑星サンプルが、水や有機物を含んだ隕石(炭素質コンドライト)のなかでも、地球上で9個しか発見されていないイヴナ型炭素質コンドライトとよばれる隕石とほぼ同じ特徴をもつ物質であることがわかりました。この隕石群は太陽系の平均化学組成と同じ組成をもち、太陽系の材料となった元素がそのまま石になったようなもので、リュウグウからのサンプルは太陽系の基準物質となるような重要なサンプルであることがわかりました。また、リュウグウは太陽系初期に形成され、その後、数百万年以内に、氷が溶けてできた水が岩石と反応して、含水鉱物、炭酸塩、磁鉄鉱などをつくったこと、その水の中で有機物と鉱物が共進化したこと、リュウグウの磁鉄鉱は原始太陽系の磁気環境を記録していたこともわかりました。炭酸を含んだ流体包有物が発見され、リュウグウは太陽系の外側領域でつくられた後、太陽系の内側まで移動した可能性も示されました。太陽系内での天体移動や原始磁気環境の復元に関して、惑星科学が今後取り組むべき課題が提示されたと言えます。地下物質の同定にも成功し、地球近傍軌道への移動が数百万年前であったことがわかるなど、小惑星の軌道進化や地質活動についても重要な知見が得られました。さらに、C型小惑星の宇宙風化の証拠も初めて発見され、今後の小天体探査や望遠鏡観測データの解釈に宇宙風化の影響を考える必要性も示されました。

「はやぶさ2」プロジェクトは、C型小惑星のリモートセンシング観測・ローバーその場計測・衝突実験などを成功させ、複数地域から太陽系形成時の物証を持ち帰るという快挙を達成しました。「はやぶさ2」プロジェクト関係者、とりわけサンプルリターンミッションをほぼ完璧に成し遂げたJAXA宇宙科学研究所を中核とする工学チームの努力と達成に深い謝意と敬意を表します。ミッション立ち上げ時には「はやぶさ」初号機からの継承と進め方に関して、学会では大きな議論があり、他の太陽系ミッション候補との優先度や小惑星科学に閉じない幅広い研究者の参画などについて意見が出されました。そうした声を受け止めつつ、JAXAが設計・開発を着実に進められたことが今回の成果につながったものと考えます。「はやぶさ2」は拡張ミッションとして、高速自転微小天体を最終ゴールとする宇宙航行を続けています。また、小惑星探査を継承しフェートンのフライバイ観測に挑むDESTINY+や、サンプルリターンを継承する火星衛星探査計画MMXも、開発の山場を迎えています。本学会と関係者の緊密な協力関係がさらに進展していくことを期待します。

日本惑星科学会は、「はやぶさ2」プロジェクトを通じて蓄積された知見を活かし、将来の惑星探査によりいっそう貢献してまいります。

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