2019年11月13日、宇宙航空研究開発機構は、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球への帰還に向け、小惑星リュウグウを出発したことを発表しました。
「はやぶさ2」は2018年6月のリュウグウ到着以来、搭載機器による表面観測、ローバーやランダーの着陸とその場測定、2回のタッチダウンによる表層試料採取、衝突装置による人工クレーターの生成と分離カメラによる 衝突放出物のライブ撮像などに成功してきました。高空隙率の瓦礫天体であることや含水鉱物が表面に広く分布することの発見、母天体の進化過程の制約につながる分光データの取得、低重力天体上でのクレーター生成 過程の実験的検証などの重要な成果を挙げつつあります。誤差1 m以内のタッチダウンや正確な宇宙衝突実験を安全に成功させたことは、理学的地形解析と工学的誘導制御の緊密な連携によるものと高く評価でき、小惑 星探査の分野で日本が世界を先導していることを強く印象づけるものです。関係者各位の不断の努力と挑戦に、改めて敬意を表するとともに、サンプルの地球帰還の達成へ向け、引き続きエールを送っていきたいと思います。
日本惑星科学会は、分析・観測・理論・実験などさまざまな研究手法を持つ研究者から構成され、太陽系の始まりから現在まで、塵一つから太陽系全体までの幅広い時空間スケールの現象を研究対象としています。私たちはこのネットワークを活かし、「はやぶさ2」が持ち帰る試料から最大限の科学知見を引き出せるよう準備を続けてまいります。また、「はやぶさ2」計画を通じて蓄積されたノウハウを踏まえ、さらなる惑星探査の推進に貢献する所存です。